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財産目録の作成

換価業務を行う前に,まず,財産の評価額を記入した財産目録を作成しなければなりません。換価業務は,財産目録に登録されている財産毎に行います。

財産の登録は,財産目録タブを押して登録します。詳しくは財産目録の作成をご覧ください。

換価業務は,換価タブを押して換価専用の画面を出して行います。詳しくは換価をご覧ください。

換価の対象

自由財産拡張の対象とならない財産は,原則として全て換価しなければなりません。ただし,換価が困難で,管理費用や換価費用の負担が過度になる財産については,破産財産からの放棄が認められています。

換価の際には,事前に裁判所の許可が必要なものと必要でないものがあります。許可が必要なもの(不必要なもの)は裁判所に確認してください。

許可申請書は,換価タブを押して,換価の対象となる財産をダブルクリックして詳細を表示し,関連書類タブを選び,許可申請ボタンを押して作成できます。

自由人破産の場合,自由財産拡張に関する判断が換価に先行しますので,注意してください。

注意事項

現金

現金を受領して管財人口座に保管します。

預貯金

通帳を受領して記帳を行い,残高を確認します。通帳がない場合は破産に通帳の再発行を受けさせるか,取引履歴を取り寄せます。自由財産拡張の対象とならない口座は,「ご依頼・ご照会兼回答書(金融機関用)」を発送し,解約手続きをします。(自然人破産で口座を引き続き利用する場合には,残高と同額の金銭を破産者に財産組入れさせて,当該預金を放棄してもよい。)また,残高が非常に少ない場合には,解約後振込にせず,切手に換えて郵送してもらう方法があります。

また,破産者が事業者(法人)の場合には,貸金庫に資産を保管している場合があるので,貸金庫の有無も照会してください。

受取手形・小切手

受取手形の場合は,支払期日を含めて3日以内の支払呈示期間内に,小切手の場合は,振出日のの翌日から10日以内の支払呈示期間内に忘れずに金融機関に呈示してください。

売掛金・貸付金

破産手続開始等の通知ととともに,(事前に作成しておいた)請求書&回答書を送付します。回収が困難と思われる場合は,訴訟提起を行ったり,裁判所に相談します。

在庫商品・仕掛品・原材料

保管費用を抑え,陳腐化を防ぐために,破産手続開始決定後速やかに売却します。適当な売却先が見つからない場合は,破産債権者(納入業者や取引先)の中に購入希望者がいる場合があるので,債権者に買受け募集等の案内を出すのもひとつの方法です。なお,仕入先の債権者が動産売買先取特権を主張することがありますので,売却代金は現金で受領する等の注意が必要です。所有権留保がされている物件の場合には,留保所有権者の同意を得て任意売却し差額を財産に組入れるか,あるいは,債権者が物件を売却し,精算金を管財人に交付してもらいます。売却の見込みのない場合は,放棄を検討します。

なお,新法では,商事留置権消滅の制度が新設されています。商事留置権を主張する債権者がある場合には,当該財産が法36条により継続されている事業に必要な場合や当該財産の回復が破産財産の価値の維持又は増加に資する時は,裁判所の許可を得て,当該財産の価値に相当する金銭を弁済し,留置権の消滅を請求することができます。

不動産

不動産の換価は,手間と時間がかかりますので,就任当初から裁判所と相談して計画を立ててください。新法では,担保権消失手続きができるようになりましたので,配当受領の見込みのない後順位の担保債権者との交渉を有利に進めることができます。(担保権者が競売を主張する等して)任意売却が困難な場合は,別除権の目的となっている不動産を財団から放棄することになります。この場合には,2週間以上前に別除権者に通知しなければなりません。

機械・工具

同業者や債権者が関心を有している場合が多いので,これらの業者に買受け募集等の案内を出すのもひとつの方法です。また,安価な工具類等は,破産者本人に財産組入れさせて放棄するか,親族に買い取らせる等の方法があります。

什器備品・家具道具

パソコンなどは,重要な経理資料等のデータが存在することが多いので,このようなデータの有無を確認し,あれば保全処置を講ずる必要があります。また,顧客情報等外部に流出すると困る情報に関しては抹消する等の注意が必要です。家財道具は,骨董品等高価品を除いて,差押禁止動産に該当しますので,破産財団を構成せず,換価不要です。事務机・ロッカー等はリサイクル業者等に買い取らせることが多いです。

自動車

自由財産拡張がされない限り,査定をとってそれ以上の価格で売却します(無価値と判断される場合には,破産会社代表者やその親族,元従業員等に数千円から数万円程度で売却することが多い)。売却ができない場合は,(保管費用や運行供用者責任の問題が生じるので)廃車手続きを行います。売却にあたっては,売買契約書を作成し,現状有姿での引渡しを条件とし,瑕疵担保責任を負わない旨の条項を加えておきます。自動車税は買主負担とするように努力します。売却後は,買主が登録の変更ができるように,譲渡証明書(軽自動車の場合は,軽自動車検査協会あての自動車検査証記入申請書),車検証,委任状,管財人証明書を買受人に交付します。自動車が行方不明の場合は,盗難届けを出し,その受理証明を添付して,陸運局で廃車手続きを行うか,課税当局に相談の上,継続検査用納税証明書発行前連絡依頼書を提出する。(占有者が車検手続きをとろうとした時に,課税庁からその旨の連絡を受け取り,占有者を把握することが可能になる。)

電話加入権

法人の破産の場合は,全て,自然人の破産については自由財産拡張されなかった電話加入権をすべて換価または放棄します。

有価証券

原則として,破産手続開始決定後,速やかに証券会社を通じて成り行きで売却します。非上場の会社の株式の場合は,当該会社の代表者・役員・株主・関連会社等の関係者に対して買受の意向がないか打診します。

敷金・保証金等

なるべく早く賃貸している物件の明渡しを行い,敷金や保証金を返還してもらいます。自然人の破産で居住用の賃貸建物を破産者が破産手続開始決定後も引き続き居住することを希望し,なおかつ自由財産拡張をしない場合は,契約書上の返還予定金額から滞納賃料及び現状回復費用予定額(大阪地裁では60万円)を控除した残額を財団に組入れさせた上で放棄することが可能です。

保険解約返戻金

自由財産拡張がされない限り,全額換価する。

退職金

破産手続開始決定の時点で退職した場合に支給される退職金の4分の1(大阪地裁では一般的なケースでは8分の1)を自由財産拡張がされない限り破産財団に組み込みます。

ゴルフ会員権

市場で売却可能なものは売却を行います。それ以外は,破産者又は関係者,ゴルフ場経営会社等に安価で売却するなどの方法を試み,それも不可能なら放棄を検討するしかありません。

貸金業者に対する過払金返還請求権

消費者金融会社からの借入がある場合は,取引履歴を開示させ,利息制限法に基づく引き直し計算を行い,過払いが発生していないか確認します。(業者は,遭えて途中からの取引履歴しか開示しない場合があるので,破産者に当初契約日を確認してください。)過払いが発生している場合には,過払金の返還請求を行います。

その他

その他換価に留意すべき財産物としては,知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権,不正競争防止法上の保護を受けるノウハウ等の権利,種苗権等),税金の還付請求がある。